『交渉は説得ではなく、ゲームである』
コミュニケーション術の参考に、と手にとってみた。
著者はアメリカで弁護士資格を得た日本人。
日本では「外国法事務弁護士」なる肩書きでアメリカの弁護士として
法律業務を行っているそうだ。そういう資格があるのを初めてしった。
具体的な訴訟や交渉の事例をもとにしているのでわかりやすい。
たとえば商品を納入したのに代金を支払わない相手との交渉とか、
解雇された元従業員が人種差別を理由に損害賠償を求めてきたときの交渉とか、
はたまた、ダフ屋のチケットを値切ったときの交渉だとか、
公私や大小をとりまぜた経験談が面白い。
交渉をいかに自分に有利に運ぶか、という交渉術の指南書ではあるが、
著者の意図は、交渉に勝つための小手先の技術ではない。
交渉は説得ではなく、ゲームである。
だからルールがある。ウソをついてはいけないし、フェアでなければいけない。
そして交渉が終わったあとはノーサイド。両者にこやかに握手で終わらなければいけない。
と、著者がいいたいことは、そういうことである。
日米の習慣や文化の違いもあり、そのまま使えるものと使えないものがあるが、
コミュニケーションのひとつの型として参考になった。